子どものワクチン接種について
【子ども(12歳以上)のワクチン接種について】
子ども(12歳以上)のワクチン接種については海外の小児(12~15歳)への接種報告で新型コロナウイルス感染に対する高い予防効果が報告されています。日本小児科学会でも12歳以上の健康な子供へのワクチン接種は意義があると提言されており、当院でも新型コロナウイルスに感染した場合のデメリットよりもワクチン接種によるメリットが上回ると考えています。
ただし、子どもが感染しても比較的軽症であることなどからワクチンを接種する際には、子ども本人、保護者の方が十分なメリット、デメリットを理解して接種を行うのか、判断して頂く必要があります。
メリット
- 高い感染予防
- 本人が感染しないことで周囲への感染拡大を防ぐ
デメリット
- 接種に伴うアレルギー反応・副反応
- 子どもに対する安全性について海外から安全性・有用性の報告が散見されますが日本からの報告がないこと、また接種後短期間の報告で数年単位での評価がまだされていません。
【ワクチン接種の注意点】
新型コロナワクチン接種後の注意点は、接種直後のアナフィラキシー症状(呼吸苦、目や喉のかゆみ、冷や汗等)と副反応としての発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛等があります。
- アナフィラキシー
アナフィラキシー症状の多くは接種後15~30分以内に出現します。接種会場で15~30分経過した後は帰宅可能です。15~30分経過後に症状が出た場合でも、多くは重篤なアレルギー症状とは関係ないものと考えられますが、万が一、気分不良等のアナフィラキシーを疑う症状があるときはすぐに相談してください。
- 副反応
接種後、数日以内に現れる可能性がある症状です。
12~15歳までの副反応の頻度です。
症状 |
1回目 |
2回目 |
注射した部位の痛み |
86.2% |
78.9% |
38度以上の発熱 |
10.1% |
19.6% |
疲労感 |
60.1% |
66.2% |
頭痛 |
55.3% |
64.5% |
※症状は若い世代のほうが強くでる傾向です。
【Q&A】
Q:ワクチン接種による心筋炎・心膜炎は大丈夫ですか?
A:アメリカで30歳以下の若者でワクチン接種後に心筋炎・心膜炎の報告があります。頻度は0.0005%と少なく、ほとんどが軽症でした。主に2回目の接種後、16~19歳の若い男性に認められています。(コロナ感染により軽度の心筋炎・心膜炎発症が2.3%との報告があり、感染のほうが心筋炎・心筋症のリスクが高いとの見方もあります。)
まとめ
- ワクチン接種による心筋炎・心膜炎の発症頻度はきわめてまれ
- 発症しても軽症が主体
- 感染予防、重症化予防のメリットの方が心筋炎・心膜炎発症のリスクより圧倒的に高い。
Q:ワクチンを接種することで不妊になりますか?
A:新型コロナワクチンが不妊の原因となる科学的根拠は報告されていません。ワクチンにふくまれる成分に排卵や妊娠に直接作用する成分は含まれていません。また、アメリカからの報告では妊娠した方を調査した結果、ワクチン接種した方の流産率が自然の流産率を上回ることがなく、動物実験でも不妊、生まれてくる子に異常は認めませんでした。
また、同様に男性の不妊の原因となる科学的根拠もありません。
その他、ご不明な点があればご相談ください。
【最後に】
新型コロナワクチン接種については接種後短期間の安全性、有用性は報告されていますが、数年単位での評価がまだされていません。子ども本人、保護者の方が十分なメリット、デメリットを理解され接種するのかどうか判断される必要があります。決してワクチン接種が強要されるものではありません。